「富良野道路」は本当に必要か(上)
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最終更新日:2014/04/02
道路情報
06年2月に着工が始まった通称・富良野道路。富良野市の事業であって(私は上富良野町民)あまり深く考えたことはなく、少しくらいは便利になるのかなくらいの認識しか持ち合わせていませんでした。このご時世にも関わらず、特に建設反対の意見表明を聞く機会もなく、直接利害が絡まない富良野地域住民は同じような認識なのかもしれません。
今回、国土交通省・北海道開発局・旭川開発建設部・富良野道路事務所(舌を噛みそう)がPRの為に作成した「地域の明日のために 富良野道路 [事業概要]」なるパンフレットを読んでみて、その内容のお粗末さに呆れかえってしまいました。
このパンフの内容は旭川十勝道路「富良野道路」PRパネル展とほぼ一緒です。参照していただきながら、その疑問点・問題点を指摘します。
富良野道路建設推進派の主張として真っ先に語られるのが、観光客の集中による渋滞の解消です。
PRパネル展・観光ピーク時の交通混雑(地図上の中富良野市ってどこ? )で、調査結果をもとに市民生活への悪影響を指摘しています。このデータだけを見るとなるほどその通りだと納得してしまいますが、実は大きなカラクリが隠されています。
それはこの調査日が平成17年7月17日だということです。この日が何の日だったかというと、海の日に伴う3連休の中日であり、上富良野町で「花と炎の四季彩まつり」が、中富良野町で「ラベンダーまつり」が開催され、夜にはそれぞれで花火大会が行われた、年に1日だけ富良野に観光客の集中する、いわば「特異日」に当たります。
参考記事 ⇒花火大会を同日に なかふVSかみふ
町職員(公務員)をはじめとした関係者はそれぞれのまつりを盛り上げようと、TVでPRしたりラジオでCMを流したり、雑誌に掲載してもらったりと集客の努力をする一方で、この日の交通量を調査し、その混雑状況を道路建設推進の立場で都合のいいように解釈して公表する(こちらも公務員)のは理解に苦しみます。
税金を使って集客する一方で、税金を使って渋滞を解消するためと称して道路を建設する。お役所による自作自演です。
別の角度から見てみます。
この日以外のラベンダーシーズン(7月中・下旬)も確かに交通量は多いのですが、この根本的な原因は「ファーム富田の駐車場の空き待ち」です。
参考記事 ⇒富良野ラベンダー渋滞速報
ファーム富田は中富良野町であり、主なラベンダー園も上富良野町と中富良野町にあります。仮に富良野道路全線が完成しても、旭川方面からはもちろん、多くを占める札幌・滝川方面からの観光客にもまったく関係ありません。
帯広・日高方面からは利用する可能性はありますが、この場合の終点が島ノ下地区であり、ここで札幌方面からの車と合流してしまい、返って渋滞に拍車をかけることになるでしょうから利用価値はゼロです。
以上の理由から富良野道路の建設はラベンダーシーズンの渋滞緩和にはまったく役に立たないことは明らかです。富良野道路の建設推進理由の一番手に挙げられる「観光ピーク時の渋滞緩和」は完全に破綻しています。
- 2009年11月30日 中国の「ラベンダー」畑
- 2008年12月7日 ジェットコースターの路からの眺望
- 2008年12月6日 美瑛側からの景観
- 2008年12月5日 深山峠からの景観
- 2008年12月4日 バルーン調査でわかったこと
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