ファーム富田
ラベンダー観光発祥の地と言われ、今や知名度、人気度ともに他のラベンダー園を圧倒しています。ガイドブックには必ず紹介されますし、観光バスの定番スポットでもあり毎年のように全国ネットでテレビ中継されています。
園内が一つのテーマパークのようになっており、ラベンダーを見るだけではなく、誰もが楽しめるようさまざまな仕掛けが用意されています。
コンテンツ
ラベンダーの歴史とともに半世紀
他のラベンダー園との決定的な違いは、もともと特用作物としてのラベンダーの栽培農家だったという点にあります。従ってここでは単にラベンダーや花々を見て綺麗だというだけでなく、様々な困難を乗り越えて今日に至ったその歴史に触れることで、より深く富良野のラベンダーを理解することができるでしょう。
押さえておきたいポイントがいくつかありますので、ここでは園内を一周するかたちで紹介していきます。ただしラベンダーのピークである7月中旬から下旬に訪れることを前提としています。
まずは花人の舎(いえ)へ
ゲートを通った先にあるメインの駐車場を起点に、反時計回りに園内を一周して紹介します。
すぐにでもラベンダーを見に行きたいところですが、まずはぐっとこらえてメイン施設である花人の舎へ。TOMITAブランドのオリジナル商品が充実し、店内は芳香で包まれています。最後にもう一度立ち寄ることにして、とりあえず雰囲気を楽しむだけにします。
この施設の2階にはラベンダーを理解するうえでの貴重な資料が展示されています。靴を脱いで上がることになりますが、あまり認知されていないようで、1階の喧騒をよそに静かに時を過ごせます。
ドライフラワーの舎が隣接しています。ラベンダーだけでなく、さまざまな種類のドライフラワーが所狭しと並べられています。
いよいよラベンダーを間近に
ドライフラワーの舎を出て右手に広がるのが「倖(さきわ)いの畑」。試験場で選抜された品種「濃紫3号(早咲き)」「おかむらさき(遅咲き)」をメインに、「ようてい」「はなもいわ」が筋状に植えられています。開花直前はラベンダーブルーの濃淡を楽しめますが、すべて開花すれば見分けがつかなくなります。
かつては田んぼであったために高低差が少なく、高齢の方、幼児連れの方、足の不自由な方でも思う存分間近で色と香りを満喫できるでしょう。
蒸留の舎・香水の舎で見学を
ラベンダーを堪能したらお勉強です。ラベンダーがこの地に導入されたのは観賞のためではなく、エッセンシャルオイルを抽出し、香料を生産することにありました。最盛期には富良野各地に蒸留施設があり、辺り一帯強烈な香り(というよりニオイ)で包まれたといいます。
香料会社により行われていた蒸留ですが、輸入品や合成香料に対抗できずに打ち切られました。その後観光資源として脚光を浴びた後、香水の原料を得るためにここでは蒸留を復活させました。
隣りに位置しているのが香水の舎。様々な種類の香水を嗅ぎ分けたり、石鹸の製造や調香作業の様子を見学することができます。
ファーム富田の魅力のひとつに、この作業風景を見学できるところが挙げられます。ラベンダーが単なる観賞用の花ではなく、一つの農産物という位置づけで製品を作り続けているところに、生産農家としての意気込みを感じます。
「行動展示」といえば旭山動物園の代名詞ですが、このファーム富田も一連の作業を見学できるという意味で「行動展示」といえるのではないでしょうか。また一時期衰退した施設・産業が回復を果たしたという点でも類似しています。
ここから始まったトラディショナルラベンダー
道路を挟んだ山手側に広がるのがトラディショナル(伝統)と名づけられたラベンダー畑です。観光客が訪れるきっかけとなったという、国鉄カレンダーに採用された写真が撮影された場所ということです。
中腹には記念碑が設置されていて、ここからの眺めはなるほど、手前にラベンダー、奥に十勝岳連峰、そして富良野線をはしる列車ということで絵になる景色です。
ゲートからはここが一番離れた地点で、ここからは戻る形になります。
必見スポット・彩(いろど)りの畑
道路を東へ戻ります。山側にはローダンセの丘と名づけられた場所がありますが、ここは経営者が違います。ファーム富田とは関係のない売店が通りに並んでいます。
「彩りの畑」はあまりにも有名な風景で様々なポスターやパンフレットに採用されています。富良野はもとより北海道を代表する象徴的な景観として、どこかで目にしていることでしょう。ラベンダーの最盛期にあたる7月中旬に見頃となる花を選んでいるとはいえ、毎年多くの観光客やカメラマンの期待に応え続ける力はさすがファーム富田と感心してしまいます。
連作障害を回避するため植えられる花の順番は年によって変わります。毎年訪れるカメラマンの中には、この順番でいつ撮影されたかわかる人もいるそうです。
少し離れていて見えにくい場所にあるため、時間がないのか気づかないのか見逃している方もいますが絶対に外せないポイントとなっています。
彩りの畑の上には2005年に登場した森の舎(展望台)があります。立ち木を利用した造りとなっていて、暑い日には一休みするのにちょうどいい木陰となります。
花人の舎でお土産選び
これでゲートに戻れば1周ということになります。のんびり時間をかけて歩けば2~3時間かかります。もう一度花人の舎に戻ってお土産を吟味するといいでしょう。
ファーム富田以外の売店
他の民間のラベンダー園にない特徴として、このファーム富田の集客力を利用していくつかのお店が軒を連ねていることが挙げられます。
ゲートの反対側にあるのが「とみたメロンハウス」。同じ富田さんですがまったく別経営で、かなり激しいお客の奪い合いを展開しています。町の設置した駐車場に接しているため多くの観光客が(ファーム富田と勘違いして)足を運びます。以前はおこぼれにあずかっているという印象が否めませんでしたが、近年はメロンをテーマとした様々な関連商品を充実させて、独自の集客にも力を入れています。
その隣りにはラベンダー畑を整備していますが、こちらは「とみたメロンハウス」で手入れをしています。ちょっとした眺望スペースを設置しています。
山側の敷地は分断されていますが、その間に地元の造園会社経営による売店があります。「ローダンセの丘」と名づけて花が植えられていますが、お世辞にも手入れが行き届いているとはいえません。駐車スペースがあってちょっと停めるのには便利。
2010年より「森の美術館」がオープンしました。また期間限定で花畑牧場の売店が出店しました。
この区域だけでもそれぞれで「ラベンダーソフト」が売られていてまったく味が違います。美味しい、美味しくないという論評はここではしませんが、オイル香料を効かせているのはファーム富田のソフトだけということはお伝えしておきます。
ピーク時の渋滞対策
駐車場が増設されたこともあり以前ほどの渋滞は見られなくなりましたが、見頃のピークである7月中旬の週末には例年交通渋滞が見られます。この渋滞はファーム富田の駐車場の空き待ちのため、時間帯によってはまったく身動きが取れなくなります。渋滞に巻き込まれない対策が必要です。
⇒ 富良野地方の渋滞とその対策
年間通してのラベンダー栽培
通年営業しているファーム富田では、厳冬期に訪れる観光客もラベンダーを楽しんでもらえるよう、温室でラベンダーを栽培しています。
⇒ 見頃時期以外のラベンダー
ファーム富田へのアクセス方法
車でのアクセス
中富良野町営ラベンダー園より北側約1km。札幌方面からの交差点の各所にオリジナルロゴの誘導看板が設置されています。旭川方面からの国道は基線で右折するのが近道ですが、あえてこの場所では誘導看板は設置せずに迂回して南側からアクセスするよう誘導しています。
徒歩でのアクセス
富良野線ラベンダー畑駅より徒歩約10分。この駅は季節運行するノロッコ号のみが停車する臨時駅です。中富良野駅より徒歩約20分。
ふらのバス「ラベンダー号」中富良野駅前下車、徒歩20分。夏期運行のミニ観光バス「ファーム富田行」終点。
【公式サイト】 http://www.farm-tomita.co.jp
公開日:
最終更新日:2014/03/31