富良野をめぐる ラベンダー園案内
富良野のラベンダー畑は1ヵ所にあるわけではなく、上富良野町から富良野市に至る国道237号線(花人街道)に沿って点在しています。ここでは植栽規模、交通の利便性、観光客の受け入れ態勢の観点から、主なラベンダー園を10ヵ所取り上げて紹介します。
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中富良野町(3ヵ所)
- 点在するラベンダー園の中でも中心となるのが中富良野町です。地理的なこともありますが、やはりファーム富田が人気、知名度ともに抜群です。オリジナル商品が充実し、作業風景が見学できるなど、他のラベンダー園にはない魅力があります。ただし観光客数も半端ではなく、混雑、渋滞が予想されるハイシーズンの週末はそれなりの対策が必要です。
- ファーム富田から南に徒歩10分の位置にあるのが北星山町営ラベンダー園です。中腹に「なかふらの」という文字が見えます。リフトに乗って空中散歩ができ、頂上からは富良野盆地を見渡せます。例年7月中旬に行われる「なかふらのラベンダーまつり」会場でもあります。
- 町営ラベンダー園の西側の丘の上にあるのが彩香(さいか)の里・佐々木ファームです。ラベンダーの広さに対して観光客が少ないため、穴場と紹介されることが多いようです。ラベンダーの摘み取りができます。
以上の3ヶ所が中富良野町市街地に近いところに集中しています。
上富良野町(5ヵ所)
- 上富良野町
の見所の筆頭である市街地にほど近い日の出公園は、中富良野の町営ラベンダー園に相当する上富良野の町営ラベンダー園です。山頂の展望台からは十勝岳連峰を間近に見渡せます。例年7月下旬に行われる「花と炎の四季彩まつり」会場です。【追記】2013年に全面植え替えを行なったため、お勧めできるスポットではありません。 - 国道を挟んで西側にあるのがフラワーランドかみふらのです。
沿線では唯一入園料が必要です。トラクターが引っ張る観覧車やヘリコプター遊覧を楽しめます。ラベンダー摘みもできます。【追記】2012年より入園料が無料になりましたが、ラベンダーの手入れがいいとは言い難くお勧めできません。 - 美瑛方面に北上し、深山(みやま)峠にあるのが深山峠ラベンダー
オーナー園です。国道脇ですが見えにくいところにあります。オーナーの看板がずらりと並んでいます。周囲には観光施設が林立し、2009年より観覧車が登場しました。【追記】日の出公園同様植え替えを行なっているためお勧めできません。 - さらに北上し美瑛町との境目、美馬牛(びばうし)峠にかんのファームが位置します。国道から園の全体が見渡せます。他のラベンダー園より標高があるため見頃が若干後ろにずれるようです。
- 2008年より観光施設を設置してオープンしたのがファーム富田ラベンダーイースト。富良野地方ラベンダー栽培発祥の地である東中(ひがしなか)地区に造成されたラベンダー畑は14ヘクタール、国内最大規模を誇ります。
富良野市(2ヵ所)
- 中富良野町からほど近い清水山に位置するのがふらのぶどうヶ丘公園内にあるラベンダー園。ワインハウスやワイン工場に近接し、清水山の一画に2010年には六花亭の観光施設がオープンしました。シーズン中は夜に幻想的なライトアップが行われます。
- 富良野市街より西にあるのが入浴宿泊施設ハイランドふらの・ラベンダーの森です。温泉の露天からラベンダーを眺めることができるのは、ここでしかできない贅沢です。
富良野市はラベンダーの街ではなく、規模の大きな民営のラベンダー園は存在しません。いずれも施設に付随したラベンダー畑で、見頃時期以外に花はほとんどありません。
民営と公営の違い
民営(右図の赤マーク)、公営(緑マーク)それぞれ5ヵ所を紹介しました。公営ラベンダー園はいわば普通の「公園」ですので、立ち入りは終日自由にできます。
一方の民営ラベンダー園のうち、フラワーランドのみ入園料が必要で入園時間が決められていますが、他のラベンダー園は公営ラベンダー園同様、売店の営業時間外でも入園可能です。富田さんの彩りの畑では、早朝の5時でもカメラマンが列を作ります。ただしあくまでもこれらラベンダー園は「私有地」ですので、マナーを守って行動したいところです。
入園はすべて無料
フラワーランドが入園無料にしたことで、紹介しているラベンダー園はすべて入園無料、もちろんすべて駐車場が併設されていて駐車料金も無料です。見るだけならタダである理由としてはラベンダー園が多数あること、傾斜地に植えられている場合が多く外からの遮へいが難しいこと、公営であれば観光振興や雇用対策といった側面があり採算は度外視している部分があることが挙げられます。
表向きにははこのような理由が考えられますが、富良野のラベンダー栽培史を紐解けばもう少し深い理由が見えてきます。富良野地方にラベンダーが植えられたのは観賞目的ではなく、オイル抽出を目的とした特用農作物という位置づけでした。美瑛の丘の景観が農業生産の現場であるのと同じように、富良野にとってラベンダーの開花は収穫を意味します。そんな農作業の風景に入園料という概念はそもそも存在しないでしょう。
香料会社の買い上げ打ち切りによりラベンダー栽培は衰退していきますが、その中でサシェ(匂い袋)をお土産として作り始めるなど、入園料を取らずとも「食っていく」道を模索してきた歴史があります。観光地として認知され大勢の人が押し寄せる中、見ることや写真を撮ることに対する対価を安易に求めるのではなく、あくまで農産物やその加工品に対しての対価を求めたことが、今なお入園無料というポリシーにつながっているのでしょう。
畑の中には入ってもいい?
民営ラベンダー園は基本的にラベンダー畑の中への立ち入りを禁じています。看板でその旨表示したり、ビニルテープなどで立ち入らないようアピールしています。
一方公営のラベンダー園では逆に、立ち入りを制限する表示は見かけません。日の出公園のように奨励しているところもあります。
ただし不特定多数の人に踏まれることでラベンダーが傷んだり、枯れたりするのは事実です。民営ラベンダー園では畑の中には絶対に入らない。公営ラベンダー園でも基本的には入らない、ただし細心の注意を払いながらならば、入ってもいいだろうとお伝えしておきます。
個性的なラベンダー畑スポット
上記の他にもたくさんのラベンダースポットが点在しています。
富良野市
- ピクニックガーデン
- 新富良野プリンスホテルに隣接する、旧ゴルフコースの一部に花木が植えられていてラベンダーもあります。最奥にある「風のガーデン」にはラベンダー畑はありません。
- 北の峰ラベンダー園
- ペンションの林立する北の峰地区にあるので、宿泊したら早朝散歩がてら訪れるのに適。
- フラノ寶亭留(ほてる)
- 学田地区にあった民間企業の保養施設がホテルとなり、敷地内のラベンダーはそのまま維持・管理されています。ただし一般に積極的には公開していません。
- 麓郷展望台
- 「北の国から」ロケ地、麓郷の高台に設けられた展望台足下にもラベンダーが植えられています。標高があるため見頃が遅れて例年お盆頃まで楽しむことができるのは特筆できます。
- 【閉園】太陽の里
- 山部地区の芦別岳登山口周辺の自然公園の一画にあったラベンダー畑は、手入れが行き届かなくなった結果、2006年を最後に廃園、現在は人気のパークゴルフ場となっています。
- 【閉園】ハーブガーデン・ポプリの里
- 早咲きを刈り込むことで秋にもラベンダーが楽しめるスポットとして知名度がありましたが、2009年にはハーブ類は姿を消し観光客の受け入れは止めたようです。
中富良野町
トミタメロンハウスファーム富田に隣接し、畑の真ん中に展望台を設置しています。まったくの別経営ですが手入れの良さは二重丸。ラベンダー畑を芝生に替え、ベンチなどを設置しています。- ひつじの丘
- 本幸(ほんこう)地区にあり個人経営のキャンプ場、ジンギスカンのお店の一画にラベンダーが植えられていますが、かつての広さはありません。
上富良野町
- 町浄水場
- 国道237号沿いに位置していますが、低い位置にあるため目立ちません。まったく無名なラベンダー畑ですが規模と手入れはマル。
- 十勝岳ラベンダーロード(道道291号吹上上富良野線)
- 十勝岳温泉に向かう道沿いを、数キロに渡って歩道の植え込みに植えられています。バークチップを敷くことで除草の手間を軽減しています。北海道新聞の選んだ「ほっかいどう100の道」のひとつ。
富良野地方ラベンダー発祥の地である上富良野町は、千望峠や見晴らし台公園、パークゴルフ場、開拓記念館といった公共用地をはじめ、市街地や郊外のあらゆるところでラベンダーが植えられています。
近隣町のラベンダー畑
東神楽町の旭川空港周辺や旭川市内でもラベンダーを目にしますが規模では劣っています。以下のところでは紹介した10園に劣らず見応えがあります。
- 南富良野町
- 金山湖畔にある鹿越園地は規模や手入れのよさでは引けをとりません。
- 美瑛町
- 丘の景観が売りの美瑛町。ラベンダーの町ではありませんが、民営では四季彩の丘・拓真館・ぜるぶの丘で、公営では北西の丘展望台で見ることができます。
公開日:
最終更新日:2017/06/25
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