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積算温度データと開花開始日

早咲きの開花開始日は、過去数年間の開花状況と気温のデータから、4月からの積算温度が1130℃に達した時点であると定義しています。

植物の生長と積算温度の関係

植物は一般的に、積算気温でその生長のスピードを大まかに把握することができます。例えばソメイヨシノなら2月になって500℃、西瓜の収穫は開花から 800℃、新年から300℃でスギ花粉が飛散を始めるといった具合。地域や品種、起算日や有効温度の設定などで数値は変わりますが、同一地域で同一品種のデータを見比べた場合、その傾向はおぼろげながらも見えてくるでしょう。

ここでは気象庁・過去の気象データ・上富良野町のデータを使用しています。富良野市と比較すると平均気温で0.1℃、上富良野町の方が低いようです。したがって富良野市のデータを用いた場合、求められる積算温度は違ってきます。中富良野町には気象庁の観測所は設置されていません。

積算温度を求めた手法

問題になるのはどの日から積算を始めるかの起算日と、ラベンダーの生長に必要な有効温度が何度かということでした。まず最初にこれまで確認してきた年ごとの開花日があり、その開花日に合わせて同じ積算温度になるのはどの条件か。さまざまな組み合わせが考えられます。

富良野のラベンダーの場合、冬期間は積雪に覆われます。雪融けでラベンダーが顔を出すのは年によって、地域によって差がありますがおおよそ4月の上旬で、日平均気温もその頃にプラスに転じます。

そこで結果論ですが、もっともシンプルかつ精度が高かった方法は、4月から6月までの3ヶ月間の月ごとの日平均気温を積算し、それに7月1日から開花までの日平均気温をプラスする方法で、その合計は1,130℃です。起算日は4月1日、有効温度は零度となりました。

早咲きの開花開始は収穫を意味

早咲き(濃紫3号)はドライフラワーへの加工に適します。そのため7月上旬には毎日指先でラベンダーの穂先をつまみ、ギュッと押してみたり茎のしなり具合を確かめます。ドライフラワーの場合、収穫のタイミングが品質を左右します。

収穫が早まった場合穂は充実しておらず、茎も細いため曲がりやすく、香りも弱い印象です。逆に開花が進んでから収穫した場合はポロポロとつぼみが落ちますし、花びらが黒ずんだりして品質は低下します。

ドライフラワーに加工する場合の収穫の適期は、最初の花がパラッと咲いた直後で、この場合咲いた花びらも青く乾燥しますし、落ちるつぼみも最小限です。そのため早咲きの開花のタイミングを確認するのは重要なのです。

一方遅咲き(おかむらさき)の方は早咲きほど意識して見ていませんが、5日ほど開花が遅れます。遅咲きの開花開始は1,230℃で基準日は7月10日ということでいいと思います。

2009年から13年までの5ヵ年データ

4月から6月までの日平均気温と積算温度

計算式は(4月×30日)+(5月×31日)+(6月×30日)=積算温度です。

4月 5月 6月 積算温度
2009 5.3 12.8 16.8 1059.8
2010 3.3 11.1 19.7 1034.1
2011 4.9 10.2 17.2 979.2
2012 5.4 12.5 16.9 1056.5
2013 4.0 10.6 18.3 997.6

7月1日から7日までの日平均気温と積算温度

7月は1日ずつ足していきます。7月上旬の日平均気温は20℃弱ですので、開花が1日前後するというのは20℃の差があるということになります。

7月1日 2日 3日 4日 5日 6日 7日
2009 17.7 19.7 19.0 20.8 20.8 21.1 23.0
2009積算 1077.5 1097.2 1116.2 1137.0 1157.8 1178.9 1201.9
2010 21.6 24.4 22.9 22.0 22.9 22.4 23.1
2010積算 1055.7 1080.1 1103.0 1125.0 1147.9 1170.3 1193.4
2011 22.1 22.0 23.2 20.0 20.2 21.4 24.1
2011積算 1001.3 1023.3 1046.5 1066.5 1086.7 1108.1 1132.2
2012 22.7 20.0 22.1 22.2 20.9 21.0 22.0
2012積算 1079.2 1099.2 1121.3 1143.5 1164.4 1185.4 1207.4
2013 22.1 23.2 20.3 22.2 21.6 22.8 24.3
2013積算 1019.7 1042.9 1063.2 1085.4 1107.0 1129.8 1154.1

データからみる過去の開花開始日

上富良野での観測の始まった1978年以降のデータを用い、積算1,130℃に達した日を見てみます。ここでは数字を羅列するより折れ線グラフの方がわかりやすいでしょう。グラフをクリックすると拡大します。

past1130

過去35年の中で、一番早く1,130℃に達したのが7月2日、一番遅いのが7月15日でその差は2週間となっています。

20年前までは今より平均して1週間ほど遅かったことがうかがえます。だから温暖化と言うつもりはありません。例えば観測地点の市街地化などの環境の変化があるとすれば、単純に開花が早まっているとは言えないのかもしれません。

仮に開花が早まっているのだとすれば今後は6月末に開花が始まることも考えられます。逆に開花が遅れても、過去にはそのような年もあったということで、それほど騒ぎ立てることもないのかもしれません。


公開日:
最終更新日:2014/03/30

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