「富良野道路」は本当に必要か(中)
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最終更新日:2014/04/02
道路情報
前回、「富良野道路」は本当に必要か(上)ではラベンダーシーズンの混雑緩和には役立たないことを見てきましたが、今回はPRパネル展・整備により期待される効果について見ていきます。
ここでは3つ取り上げられていて、それぞれに私見を述べます。
- 観光産業の支援
- 救急医療に貢献
- 円滑な物流軸の確保
観光産業に関しては、前回取り上げたとおりです。富良野道路が完成したとしても、まったく混雑の緩和には結びつきません。
救急医療に関して。
富良野地域の中核的な病院は社会福祉法人北海道社会事業協会 富良野病院(いわゆる協会病院・ドラマ北の国からでホタルちゃんが勤めたり、ゴローさんが人間ドッグに行った病院)です。この春に富良野駅東側に移転開業予定です。
救急患者の多くがこの病院に搬送されることが予想されますが、富良野道路を利用しなければならない搬送は皆無と言い切れます。なぜなら、富良野道路はそもそも富良野市をパス(素通り)するバイパスだからです。富良野市中心部に位置する協会病院に向かうのに、この道路が役に立つはずはありません。
道路建設を行う際に必ずこの救急医療の問題が取り上げられ、都心に比べ地方は救急車の到着までに時間がかかるデータを並べ、道路建設に反対しにくい世論形成に利用されています。
一見正しい主張ですが、富良野市山部の山部厚生医院が廃院になったように、地方病院は統廃合・診療科の縮小が行われ、患者の負担増・切り捨てが行われているのが現状です。「命を救うために」病院到着を3分早くする目的(富良野道路は利用すると遠回りになるでしょうが)で二百億近い税金が使われことに誰が納得できるでしょう。同じ金額を医療施設の充実・患者の負担軽減に使えばどれだけ多くの命を救うことができるでしょうか。
円滑な物流に関して。
富良野道路が完成することで利便性が向上するのはどの地域とどの地域を結ぶ路線かを考えると、帯広方面?滝川方面の物流ということになります。ここで示されている旭川市への依存度や周辺地域の富良野市への依存度のデータはまったく的外れです。
また帯広?滝川間の物流というのは富良野地域を通過する物流のどれほどの比率を占めるのでしょうか。感覚的にはほんの数パーセントと思われます。
以上、この「整備により期待される効果」で述べられていることはまったく期待されません。それでもなぜ建設が必要なのか。やはり「違う理由」が存在するということなのでしょう。
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