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すくすくと成長していないラベンダーオーナー園

公開日: : ラベンダー豆知識

ここ数日は北海道の夏らしい、カラッとした暑さが続いています。今日は富良野市で今年初の真夏日を記録しました。今年は北海道でも電力不足が言われ、あまり暑い夏にはなってほしくありませんが、泊原発の再稼働問題に絡んで、道民にとって試される夏になるのでしょう。

今回は今年一番のがっかりラベンダー園の紹介です。先日お伝えしたラベンダーイーストは大雨や長雨といった自然災害によるもので、それでもなんとかラベンダーを維持しようと必死で頑張っているのはひしひしと伝わってきますので、私もなんとか応援したいと思いますが、今回紹介するラベンダー畑はおそらく人災といっていいと思います。

深山峠(2012年6月27日)
深山峠ラベンダーオーナー園。十勝岳や丘陵の美しさとは対照的に、枯れたラベンダーが広がります。植え付け間隔が広い上に株がそれほど大きくないため、枯れてなかったとしても土にしか見えなかったとは思いますが。

なぜこれほど酷く枯れたのか。

深山峠(2012年6月27日)
この株なんか特徴的で、新芽が伸びたあとに枯れたことを物語っています。完全に枯れてしまった株を少し引っ張ってみるとユラユラします。新芽がかろうじて伸びているものも生育は遅れています。

株がユラユラするのは恐らく移植した株で、根が付かなかったと想像します。欠株を補植したならもともと植わっていたラベンダーはすくすくと成長しているはずで、生育が遅れているのは理解に苦しみます。ここで疑ったのは除草剤。10年前には日の出公園の木を枯らした前科がありますから。『「土が流れる」という言い訳が聞こえてきそう』と書いたのは昨年7月15日のリポートですが、除草の手間を省いたか。

実は今日、その謎は解けました。

深山峠(2012年6月27日)
枯れた株を抜き取る作業員。軽トラにはかみふらの十勝岳観光協会の文字。こういう場合聞くに限ります。で、わかったこと。

今回補植するにあたって一度全部抜き、トラクターで全面耕起したあと再度植え付けを行なったということ。除草剤は使用していないということ。植え替えたときに雨がなくて水が足りなかったのでは、ということでした。この暑い中作業している方には申し訳ないですが、観光協会はラベンダーに関してド素人の寄せ集めなのでしょう。

恐らく彼らは何故枯れたか理解していません。水が足りなかったからという程度の認識では同じ過ちを繰り返します。今後日の出公園も含めてラベンダーの植え替えを行う予定だそうですが、一度謙虚になってプロのアドバイスを聞くべきです。前町議のIさんとか花苗生産のプロHさん、テレビでも紹介されたラベンダー生産農家のOさんとか、皆さんラベンダーに関わってこられた大先輩です。上富良野には誇るべき多くのラベンダーのプロがいます。観光協会が行なっているのはラベンダー観光をここまで育てあげた方々に対する冒涜ですし、オーナーとして少なくないお金を出している方に何と説明するのでしょう。何より枯れたラベンダーに対して心が痛みませんか。

ちょっと年甲斐もなく興奮してしまいました。少し冷静になってなぜ枯れたのか、枯れないようにするにはどうすべきだったか考えてみます。

植え替えのタイミング
5月1日のリポートで取り上げていましたが、この時点ではまったく去年のままでした。新芽の伸び始めた後に植え替えを行なったと思われ、これが一番大きな原因だろうと思います。つまりラベンダーの栽培の本には必ず書いてある基本的なことすら観光協会は知らないということです。ベターなのは生育が止まり雪の降る直前の10月から11月にかけて。雪解け後ならその直後。
想像ですが、新芽が伸び始めて初めて枯れたラベンダーの多さに気づいたのかもしれません。それで急遽植え替えを行なった。でもやはりそれでは遅いのです。
乱暴な植え替え
植え替えしているのを見ていた訳ではありませんが、根がグラグラするのは恐らく移植時に根から土をほとんど落としたからです。この場合慎重を期して雨上がりに3人がかりで3方からスコップを入れて、崩れないように植え穴に落とせばここまで枯れることは無かったかもしれません。
大株の移植
株が大きければやはりそれだけ根も張っていますので、植え替えすれば根はかなりズタズタになります。地上部に影響が出ないはずはなく枯れで当然だったともいえます。
肥料焼けの可能性
トラクターで全面耕起したということですから、化成肥料も散布していたと思われます。この場合は活着を確認してから株周りに施すべきでしょう。
除草の手間を省いた
そもそも全面的に植え替える必要があるほどにラベンダーが枯れてしまったのは、昨年まったく草取りをしなかったためです。どのラベンダー園でも除草は必死に取り組んでいます。ラベンダーは草に隠れると蒸れるのが一番大きいと思いますが、間違いなく弱くなり、最悪の場合は枯れます。

今回のタイトルは観光協会のブログをもじって付けました。ブログに載せられた写真は国道からはまったく見えない奥の奥の方の一画で、それですくすくと成長と言われても意図的な情報操作であり、組織の隠蔽体質を暴露しているに過ぎません。観光協会はかねてより、日の出公園の駐車場の件ではダンマリを決め込み、平気でポスターの合成とか行なってきました。見晴らし台公園のドタバタは取るに足らない非常に次元の低い論争で、こんなので本気で観光客が増えると思っているとしたらおめでたい組織です。

かみふらの十勝岳観光協会にお願いしたいのは、まずなぜこのような事態になったのか。これからどうしたいのか。町民に対する説明をまず行い、さらに責任の所在を明らかにすべきです。骨のある理事さんはいないのでしょうか。

オーナー園はさておき、深山峠には他にもラベンダー畑がありますので一応紹介しておきます。

深山峠(2012年6月27日)
かつて株分けラバンジン、ちんちくりんスポットとして紹介した展望台直下。植え替えが行われて3年は経つと思いますがそれにしては貧相で、肥料が足りないようです。観覧車がドドーンと立って展望台が小さく見えます。

深山峠(2012年6月27日)
トリックアート美術館のの東側にもラベンダー畑が広がります。少し奥まっていて国道からは見えません。

太陽柱(2012年6月26日)
6月26日、東中の自宅より。サンピラーって初めて見ました。

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