富田さんはラベンダー「観光」発祥の地
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各地の発祥の地
富良野地方のラベンダー発祥の地は上富良野町東中(ひがしなか)地区であり、その記念碑が東8線北20号に設置されていること、町内日の出公園にも発祥の地碑がありますが、これは町内で栽培が始まったことを示しているだけであって、この公園が発祥の地ではないことは前回までに取り上げました。
知名度抜群の中富良野町・ファーム富田が発祥の地だと認識している方もおられると思いますが、富田会長の著書「わたしのラベンダー物語」に東中地区に広がるラベンダーに衝撃を受け栽培を始められたことが書かれています。したがって富田さんは発祥の地とは言えないのですが、富良野市のふらの観光協会で富田さんが「富良野圏ラベンダー発祥の地」と紹介されているのは、単に担当者や関係者の勉強不足によるものと断言できます。
では富田さんの肩書きはなにかというと、ラベンダー「観光」発祥の地と紹介されることが多々あり、自らそう名乗ってきたのか誰かが名づけたのかはわかりませんが、この呼び方が広く定着しているようです。
ラベンダーが観光資源として脚光を浴びるきっかけになったとして、必ず紹介されるのが「国鉄のカレンダー」で、これをきっかけに多くのカメラマンが足を運ぶようになったことが定説となっています。しかしどれほどの人がこのカレンダーを目にして富良野を訪れたかは疑問で、とき前後して新聞や雑誌に(富田さん以外のラベンダー畑も)採り上げられたり、ラベンダーキャンペーンが組織的に行われたりと、決して富田さん一人、目立ってアピールしていたわけではなかったようです。ファーム富田がラベンダー観光の発祥地といえるか、若干疑問の余地は残ります。
参照 ⇒ ラベンダーの由来(かみふらの郷土をさぐる会)
個人的な見解ですが、富良野=ラベンダーという図式が広く一般に認知されたのはテレビドラマ「北の国から」の影響が大きいと考えます。富田さんの畑がロケ地に採用され、回顧シーンやイメージカットでは何度となく映像が流され、他のどのようなPRをも圧倒的に凌ぐ強烈な印象を日本中に与えたことでしょう。したがって当時東中地区にも大勢カメラマンが訪れたといった異論もあるようですが、ここは富田さんがやはり「観光発祥の地」を名乗るに値すると考えた方が自然でしょう。
「1976 この位置より撮影された景観が全国に紹介されラベンダーが広く知られることとなる」と刻まれています。
というわけで、富田さんは「ラベンダー発祥の地」ではなく、「ラベンダー観光発祥の地」であるという結論で結構で、これでオシマイとしてもいいのですが、実は個人的には逆の意味で大いに違和感があります。
東中地区が本当の発祥の地である、という件に関しては一歩も譲りませんが、日の出公園が「発祥の地」と紹介される一方、富田さんが「観光発祥の地」と紹介されたときに、実際には正反対だという思いがあります。
日の出公園というのはそもそもラベンダー観光が脚光を浴びた後、観光客の受け入れのために造成された公園であり、同じ町内ということで発祥の地を名のっているに過ぎません。それに対し富田さんは半世紀の歴史を刻む、ラベンダー耕作の艱難辛苦を味わった栽培農家の一人であり、上富良野町東中地区と切っても切れない縁で結ばれています。
地理的に見ても東中地区の西側に中富良野町西中(にしなか)地区が広がり、これに隣接する形で富田さんのある北星(ほくせい)地区があります。行政上の境界線はあるものの、石碑のある東8線北20号と富田さんの基線北15号は、直線にして7.0kmの距離にあり、同様に日の出公園(東1線北27号)との距離を計算すると7.3kmとなり、わずかですが富田さんの方が近いのです。
その東中地区の東6線北16号にこの夏ラベンダーイーストが誕生します。管理・運営するのは富田さんで、会報誌では「まさにこの場所は、富良野ラベンダーの歴史が始まった地」と紹介し「このような歴史ある地に再び、ラベンダーを広く栽培・生産できることに誇りと喜びを感じています」と記載されています。ラベンダー苗の生産農家はあるものの、これといった観光地のなかった純田園地帯の東中に、富田さんが新たな観光施設を設置することで、上富良野町-中富良野町という垣根を越えて「発祥の地」と「観光発祥の地」の新たな地平が開かれるであろうと、ひそかに期待しています。
参照記事:来夏に新たなラベンダー園
これまでは「富良野地方の」ラベンダー発祥の地について私見を述べさせていただきました。次回は北海道の、あるいは日本における発祥の地はどこかについてとりあげます。
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- 2012年4月1日 2012年ラベンダー見頃予想1回目
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