今年こそはのタネ蒔き作戦(序章)
ラベンダーの増やし方は「挿し木」で行うのが一般的ですが、もちろん種からも育てることができます。05年春には市販のラベンダーのタネを集めて蒔いてみましたが素人の悲しさ、その発芽率の低さに惨敗し、翌年再びリベンジを誓ってタネを蒔きましたが再び撃沈しました。
2度の挑戦の失敗は単に管理が行き届いていないという面もありましたが、市販品の小袋には発芽率が最低でも40、最高で70パーセント以上と記載されているにもかかわらず、100粒蒔いて1つ発芽するかどうかという結果は、再チャレンジを諦めるには十分な結果でした。
この冬「ラベンダーに関する試験成績集」に目を通し、その中で2度の「種子の発芽試験」の試験結果が掲載されています。
- 種子の発芽試験(その1)-昭和27年・北大農学部工芸作物学教室
- ここでは計12種(260-405粒のサンプル)に分けて発芽率を調査しており、低い順に0.9/1.1/1.4/1.4/1.8/2.2/3.6/3.7/4.9/5.1/6.4/10.2%の成績です。
- 種子の発芽試験(その2)-昭和34年・曾田香料(株)札幌工場
- この試験では発芽前の処理を変えて試験しています。
- 31.5%-無処理
- 17.5%-稀塩酸処理1%
- 0%-熱湯処理(70度の熱湯に15分浸漬)
- 20.0%-低温処理3日間(布袋に入れ雪の中に)
- 33.0%-低温処理10日間(同上)
それぞれ100粒を播種した結果で端数が出ているのが理解できませんが、熱湯処理について「処理の不手際により種子の発芽力を失つたよう」と記しています。また試験を中止した15日以降も発芽がみられたこと、25℃の定温器で試験を行ったが変温環境での試験を行えば発芽率の向上が推測されると述べています。
この発芽試験とは別の種内交雑試験(昭和38-39年・北大農学部育種学教室)「種子の予措(よそ)」の項で
ラベンダー種子は硬実歩合が高く発芽が不揃のため、実生の育成や染色体倍化に支障をきたすので、種子の予措を試みた。その結果、ただ単に種子にすり傷を与えるだけで実用上の目的は達せられた。即ち播種後1週間で20%近い発芽率に達したのである。これに対し無処理では1ヶ月を経ても発芽皆無か、せいぜい2%程度に過ぎなかつた。
と記載しています。
これらを総合的に判断すると、ラベンダーの発芽率は用いる種子によって良し悪しがあるもののおしなべて非常に低いこと、また播種前に低温処理などで発芽率の向上が望めること、市販小袋の発芽率70%以上という記載はどうにも疑わしいことがわかります。
また、この試験結果で栽培試験のプロも失敗と思われる結果になることもあるということがわかっただけでも、すごく肩の荷が下りて再チャレンジへの意欲が湧いてきました。08年4月3日に行った種まきは次回掲載します。
- 2011年2月7日 北の峰ラベンダー園看板の謎・中
- 2009年2月6日 ラベンダー園最新リポート(09/02/03)
- 2007年2月9日 この冬「ふらの・びえい人」になってみる?
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