ラベンダーの挿し木の方法・その1(採取)
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挿し木で増やす
2006年最初の研究になります。雪融けから新芽が出てくるまでの約1ヶ月間は、ラベンダーを動かすのにもっとも適した時期で、今回は挿し木でラベンダーを増やします。
挿し木というと何か特別の技術のように感じますが、実はタネを蒔いて育て始めるより時間がかかりませんし、何よりラクです。また確実に親の形質を受け継いでいるので、ラベンダーを育てている多くの方にチャレンジしてもらいたい技術です。1株から数十以上取ることも可能ですので、庭一面ラベンダーで埋め尽くすこともできてしまいます。
また特に暖かい地方でラベンダーを育てている方は「突然死」の恐怖がつきまとうと聞きました。原因不明で突然枯れてしまう症状なのだそうですが、富良野のラベンダー園においても毎年春に補植(ほしょく)といって枯れたり弱っている株を取り除いて新しい株と植え替えます。100株あれば1?2株は枯れているでしょうか。補植して歩くのも一日仕事だったと記憶しています。挿し木で常に数株キープすることによって半永久的に維持することができます。
挿し木の方法も様々あるようですが、富良野のラベンダー発祥の地で半世紀にわたって苗を育ててこられた農家の方から直接教わった方法にならって紹介します。
まずは挿し木の時期ですが、栽培法を解説した本によると年間通して可能だということですが、基本的には富良野ではこの時期(雪融け後新芽があがる前)に行います。この時期が一番根づく確立が高いのかどうかは今後の研究課題ですが、春に挿し木をすると夏に向けて勢いがあるのは確かです。挿し木をしてすぐに新芽が伸びても根がのびるまでには1?2ヶ月はかかります。秋に挿し木をすると活動が停滞して根づく確立が低くなるのでしょうか。あるいは田植えを控えた農家にとって、種籾を蒔き終えて田植えを行う間の空いた時間がこの挿し木の時期を決定しているのかもしれません。
さて、その方法です。まずは枝を取ります。15センチなどと解説した本もありますが、あまり長く取ると腰が高い状態になるため鉢上げが難しくなります。もっとも直接庭に植えるだけなら関係ありませんが。逆にほんの先端(2,3センチ)を取る方法もあるそうですが、私は5?10センチの間で取っています。
剪定を兼ねて親株が丸くなるようにカットします。それぞれの枝に数枚の葉が残るようにカットすれば、その葉の付け根から新芽が伸びてきて理想的な形になります。
基本的には1本の枝にします。切り口は鋭いカッターで斜めにカットということはしていません。生け花の技術から来ているのかも知れませんがほとんど無意味に思います。床土に枝の半分以上挿すことになりますが、下側の葉を取るかどうかは気持ちの問題で取らなくても問題ないようです。発根剤なるものも使用しません。つまり切っただけ。すぐに土に挿してもいいのですが、今回はこれを一晩吸水させます。本日の作業は終了です。
昨年の同じ時期に挿し木した枝で、丸一年経過するとこのような立派な株になります。土に触れていた枝全体から発根しているのがわかります。
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